ここがみどころ 3/3
3/3
手業がデジタルの潜在能力を引き出し、新たな感動を呼ぶ
現在のアニメ制作はペイント、撮影以後の工程を「フルデジタル化」し、「2D=手描き」に加えて「3D=コンピュータ・グラフィックス」が導入されて映像が高度化している。「REBUILD」ではこの最新状況をふまえ、カットごとに最適な処方が選ばれている。
「EVA初号機」や「使徒」の一部は3D表現に置き換えられ、予想を大きく超えるパワーアップを果たしている。超常能力の発現が大画面に展開し、強大なスペクタクルが眼前に迫る。モニタ表示や第3新東京市の兵装ビル群など、画面ディテールも3Dで細かく補強。高クオリティ映像のテイストは一段と深みを増す。

「REBUILD」に最大の効果をもたらす技法は、「デジタル撮影」(コンポジット)だ。空気感、存在感、臨場感を、繊細な感情の機微に変えて伝える「映像の手ざわり」「エヴァのテイスト」。これを決定づけるのが、撮影だ。細密な調整をモニタ上で詰めることで、一発勝負のアナログ時代には至難だったデリケートなニュアンスが伝達可能となった。

「REBUILD」は、過去の制作環境で抑圧されていた「エヴァの本質」を解き放つ。誰もが知っていながら誰もが未体験だった「エヴァ映像」は、あたかも拘束具を解き放った初号機のように、驚きと衝撃を巻き起こす。暗闇の中に溶けこみそうな巨人《EVA初号機》が、オレンジとグリーンの各部を発光させながら戦う。この美麗で激しい「光と闇」の共存こそは、「REBUILD」が可能にしたもの。その驚きと戦慄は、信じがたい新攻撃手段を備えた使徒と、給電施設のディテールをふんだんに取りいれた「ヤシマ作戦」で頂点に達する。そのゴージャスで激しく華麗な映像の流れは、いまだ誰も体感したことのない「シンジの心の輝き」に結実していくのだ……。

最後に「REBUILD」とは、『エヴァ』の原点である「手作りのアプローチ」を重視した技法であることを確認したい。デジタルはあくまでも映像を強化する「絵筆」。クオリティの高みを追及するため、もっとも駆使されたのは人間の「頭脳と手」である。その手業こそが、「新時代の新物語の感動」を呼ぶのだ。
3/3