ここがみどころ 2/3
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完全新作でも旧作でもない、「新エヴァ世界」への融合
導入は完全新作であってはいけない。しかし、新しくもありたい。「新作であって新作でない」という難問を解く「REBUILD」とは、苦難の道を意味していた。

まず、劇場の大きなワイドスクリーンに適合させ、最適な画面クオリティに調整するために、最新テクノロジーが総動員された。新たな観客は「2007年の新作」として認識し、さらに『エヴァ』を熟知した従来のファンも「まぎれもなく、これぞエヴァ」と深い感動を覚えるはず。この両立を可能とした秘密は、「解体と再構築」である。
「解体」とは、旧作を素片に還すこと。物語的にもあらゆるテレビの要素が解体されているが、映像もまた素材にいったん還元された。10年以上も保存されていた貴重な原画、動画、レイアウト(画面の設計図)、背景をスタジオに結集し、検分した上で改めて「どう料理するか」の決定がくだされる。ビスタサイズに合わせて再フレーミングが行われ、画面構成のクオリティをアップすべくレイアウトの多くは描き直されている。原画も作画監督が現在の目で見直し、細かな手が加えられた。キャラクターのフォルムや影のニュアンス、演技を必要に応じて修正、メカの描き込みも格段にレベルが上がっている。背景に関しても密度感、色彩、光と影の表現がより美麗になっている。

柔軟な修正が可能なことを前提に、EVAシリーズのディテール、武器を中心に大量の新設定が描き起こされ、そしてTVシリーズでは省略された部分も設定に立ち返って劇場用に復元、強化された。色彩もセル絵の具時代は数が限られていたが、デジタル技術でリニューアル。その新鮮さは、『エヴァ映像』本来の味わいを引き出し、驚嘆を招くはずだ。
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